そこにタイミングよく、先程キッチンへ行った彼が戻ってきた。


「はい、紅茶。外、こんな時間だし寒かっただろうからホットだけど、熱いの大丈夫?」


私前に、湯気の立つ、上品な香りの漂うホットティーが置かれた。


「ありがとうございます、大丈夫です。」


私がそう返すと、彼はにこっと笑って、


よかった。


そう言った。


染めていない、地毛であろう黒髪と、黒縁のメガネ、


やはり綺麗な顔をした、


優しそうな雰囲気の人だった。


穏やかに笑う人だな、と


柔らかい人だな、と思った。