お互い無言のまま5分くらい歩き、彼が立ち止まったのは、


「つーいた、」


ここ一帯の落ち着いた雰囲気にはそぐわない、ライトの煌々と光る、高級マンション。


「いくよ?」


なんて、彼は心底楽しそうに笑って言う。


「…今更、」


私は俯き加減にぽつんと呟く。


それに彼はまた口元をニヤつかせて、


「つれないなぁ」


なんて言いながら、マンションに入って行った。