「どんなに言われても、そのお誘い、受けるわけには「じゃあ、これは?」」
今度は彼が私の言葉を遮った。
ーージャラッーー
それと同時に取り出したのは、
「用って探し物、つまりこれでしょ?」
一つの、ちいさな、キーホルダー。
「っ…なんでそれ、貴方が…」
私は、そのキーホルダーを彼が手にしているのを見て、心底驚いた。
「これ、大切なんでしょ?返して欲しかったらさ、ちょっと付き合ってよ、」
なんて卑怯なーーー
言いかけた。
けれど彼が言うことは全て図星で、
さらに言うと、なぜこの、初対面のやつが、そんなことを知っているのか、
“どこまで私を知っているのか”
それが気になり、
「…一晩」
「いい子」
この出会いが、全ての始まりだった。
そう、
全ての、
全ての、
ハジマリ