「私の部屋はこちらです。私はこの部屋を使いませんから、ご自由に使ってもらって結構です。着替えはそこに置いてあります」

「親切にどうもありがとうございます。...えーっと」

「ひぐらしです」

「あ、はい。ありがとうございますひぐらしさん」

「いいえ、貴方こそ風邪をひかないように」

ひぐらしは微笑み、部屋から出て行ってしまった。私はさっそく着物を着替えて、部屋にある大きな鏡の前に座る。

「やっぱり、夢じゃないんだ..」

鏡に映った自分の首筋にくっきりと跡がついている。その跡を触ろうとした時だった。襖が開かれ上半身裸のひぐらしが入って来た。
だが、ひぐらしの身体は女性のものでは無い。
男性だ。
私は、驚きを隠せずその場に固まっていた。

「ぁっ....あああのっ..ひぐらしさんって..」

「えっ?もしかして女だとおもった?」

ひぐらしはその場に崩れ落ちて笑いを堪えている。何かおかしな事でも言っただろうか。

「くくっ。いや、間違われるのは多々あるんですけどそんなに可笑しく驚いた顔をされたのは貴方が初めてです」

「いや、間違えるも何も...」





「よお葉月」