アユは哀しそうな表情を浮かべ、私を見ると。

…教室を出て行ってしまった。




「…アンタ、何も知らないんだな」



私はお弁当を食べるのを中断し、鞄の中からホワイトボードを取り出した。




〈吾妻くん、何者なの?〉

「…別に俺のこと知って、何があるわけ?」

〈私はアユの親友なの〉

「…ふぅん。なるほど。
大切な親友と言っておきながら、アンタは親友が犯した罪を知らないんだな」

〈罪って何?〉



アユは何かしたの?



「そんなの、俺の口から聞きたいわけ?」



そんなわけないじゃない。

アユの口から聞きたいわよ。



「そういえば、俺からの忠告」

〈何?〉



嫌な予感しかしない。




「お前がいくら水川遥希を大事に思っても、お前と水川遥希は付き合えない」



そう冷たく、

吾妻くんは言い放った。