「ここはですね―――…。
…ってことです。わかりましたか?」

〈なんとなくわかったよ。
ありがとう。
また教えてくれる?〉

「ええ」



ホワイトボードのペンを、シャーペンに持ち帰る。



「思うんだけどあーちゃん、手にマメとか出来ないわけ?」



持ち替えたばかりだけど、再びペンを持つ。



〈最初の方は出来ていたよ。
最近は慣れてきたから、出来なくなったよ〉

「話せねぇからしょうがねぇけどさ。
大変だよないちいちホワイトボードに書いて」

〈確かに大変だけど、コレがないと話せないから。
コレは私の宝物だよ〉

「あーちゃん声出せそうな気配あるかぁ?」



私は静かに首を振った。




毎朝起きてすぐ、声を出すようにはしているけど。

出る気配は全くない。




「…アオって」



突然ハルキくんが言いだす。

少しドキッとした。



ハルキくん声も良いんだもん。

聞き惚れちゃうよ…。