流れた水は数人の上履きにかかった。



「やだ汚い!」

「それさっきシロガネくんが雑巾絞っていたヤツじゃない?」

「じゃあ雑巾の水ってことかよ!」

「さっさと拭けよ高岡!」



私は起き上がり、雑巾で拭き始める。



「何しているー高岡」



相変わらずやる気のなさそうな担任が来た。



「高岡さんバケツの中に入っていた泥水をこぼしたので、拭いていまーす」

「そうなのかーシロガネ。
じゃ高岡、さっさと拭けよー」



私じゃない。

こぼしたの、私じゃない。




シロガネが蹴飛ばしたから。

私の頭がぶつかって、こぼれたんだ。

シロガネのせいなのに…。

でも私は何にも言い返せない。



「はい…」



私が頷くと、シロガネの顔がすぐ横にあった。



「高岡」

「な、何?」








「その声キモい。出さないで」