「…ええ、確かに高岡さんだっけ?の言う通りよ」



高岡さんだっけ?って、母さん…。

アオの名前覚えていないのか?



「ハルキが小さい頃、散々言ったくせに、今更母親面なんて出来ないと思ったのよ。
父さんはハルキを嫌っているから、父さんの前でハルキの話なんて出来ないし。
…でも、ワタシはハルキの母親だから。
今でもフミヤさんは好きだけど、もう今更後悔しても遅いわ。
最初は幸雄さんのこと愛していなかったけど、今は愛しているわ。

…勿論、ハルキも羽菜のことも」



そう言った母さんは、笑った。

滅多に喜怒哀楽を表に出さない母さんが…。



「文菜さん…」

「高山さん、ありがとう。
ワタシ、あの日あなたに色々言われたじゃない?
それでワタシ、気が付いたのよ。
ハルキを責めていたワタシがした、悪い過ちに。
気が付かせてくれて、ありがとう」

「本当ですか!?
でも私も文菜さんに色々言いたくて、それで声が出たんです!
文菜さんのお蔭でもあります!
私の方こそ、ありがとうございました!」



もしもし?アオ?

今母さん、アオのこと高山さんって言ったよね?

アオは気にしないのか?



「でも文菜さん。
私の名前、高山じゃないです。
私は高岡碧愛です」

「あら、ごめんなさい?」



プハッと同時に吹き出すアオと母さん。





アオ、ありがとう。

アオのお蔭で、僕は色々なことに気が付けたよ。







アオと歩道橋で出会えて、

本当に良かった――――…。