☆アオside☆




「行ってらっしゃいアオちゃん」



毎回お見送りしてくれる叔母さんに笑顔で会釈しながら、今日も学校へ向かう。

両親を亡くし声もなくした私に優しくしてくれる。

親戚が悪い人とかよく小説で出てくるけど、私の場合あり得ない。

とても優しく、最初は優しすぎて疑ったほど。

私の声が早く出るよう、願ってくれている。




さっき学校へ向かうって言ったけど。

向かう先は、学校の手前にある大きめの公園。

この公園の東向きにある入り口で、毎日アユと待ち合わせしているのだ。




「アオ!」



向こうから走ってくるアユを見つけ、急いで鞄からホワイトボードを取り出す。

それに〈おはよう〉と書き込み、見せながら笑顔を向ける。



「おはよう。
ところで昨日の水川ハルキ?
かなりムカついたんだけど」

〈アユは嫌いそうなタイプだもんね〉

「初対面のくせに、よく毒吐けるよね。
図太すぎでしょ神経」

〈確かに。
その堂々としている所、羨ましいかも〉

「でもアオには合わないよ。
もう2度と会わないようにしな。
アオが精神的に疲れて、倒れちゃうから」



大げさだなぁ。

まぁそれがアユなりの優しさだから。

私は笑顔で返した。