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私はまた、ハルキくんの眠る病室へと足を運んだ。

相変わらず起きる気配はしないけど。

いつか…目覚めてくれるはずだわ。




「ハルキくん…」



私は座って、その寝顔を眺めていたが、立ち上がる。

…変なこと想像しないでよね?

別に私、変態とかではないから。

ハルキくんの顔がかっこいいから、かっこいいなぁって眺めていただけよ?

それよ、うん。




「ハルキくん、聞いて?
アユがね、私の声が出るようになったからって、お祝いに歌を作ってくれたの。
アユが作詞して、作曲はアックンだよ。
…今から歌うから、聞いていてね?」



今日のために、私は頑張って、練習してきたんだ。



「私、いじめられて声が出なくなって、本当に哀しかった。
小野とハルキくんを恨んだ日もあったよ。
でも、アックンが調べてくれた。
ハルキくんが私をいじめた理由。
小野に指図されていたんだね。
ちっともハルキくんは悪くないんだね。
その上いじめをやめるよう、小野に言ってくれたって。

私それ聞いて、凄く嬉しかったよ。
今は誰も恨んでいないよ。
声が出るようになったのは、ハルキくんのお蔭だもんね。

ハルキくんも、辛いこと、沢山背負っていたんだね。
私は当時は不幸だと言っていたけど、私の方がよっぽど幸せだったんだね。
両親は事故で死んじゃったけど、信頼できる親戚や先生方もいる。
アユもアックンも、凄く私を心配してくれて、今でも支えていくれている。
ほんの些細な出来事だけど、幸せなんだね。

ハルキくんに出会えなかったら、私はそのことに気が付けなかったよ。
ありがとう、ハルキくん。

ハルキくんに会えて良かった。




私は、

ハルキくんが、

大好き―――――……」