結局僕は逃げただけだ。

小野からも、颯天からも、高岡さんからも。



小野には言えば良かったんだ。

僕を代わりにいじめろって。

それを言わなかった僕。

…ほら、自分を守った。



颯天に言えば良かったんだ。

何かあったら僕に言えよって。

颯天がいつか僕に言ってくれたように。

それを言わなかった僕。

多分僕にはなかったんだ。

颯天ほど、友達を守る約束が。

自分だけ守ってもらえれば良いと思っていたんだ。

颯天をまるで、道具のように扱ったんだ。



高岡さんに言えば良かったんだ。

いじめてごめんなさいって。

信じてもらえないだろうけど理由も話して。

謝ると言ったら、担任や真島双子は、きっと住所を教えてくれたはずだ。

もし拒否されても、めげずに謝りに行けば良かったんだ。






イラナイ子って、言われるわけだ。

だって自分しか守れない卑怯者を、誰が必要と思う?




壊したんだ。

僕は、





全てを。