「ハルキがこうなったのは、俺らにも責任があります。
大丈夫です、他人には言いふらしません」




俺がハッキリ言うと、医者は渋々と言った感じで羽菜さんを見た。




「お姉さん…良いですか?」

「はい、構いません。
彼らはハルキの友達です。
今ここで聞かなくても、後日わたしの口から言うつもりでしたから」

「…では、落ち着いて聞いてください」



医者は小さく溜息をつくと、その重い口を開いた。




「ハルキくんには、記憶喪失の傾向があります」




正直、俺はあんまり驚かなかった。

だって、さっき医者を呼ぶ前、ハルキが敬語を使ったのや、医者にとの会話の中頷いたのを見て、記憶喪失ではないかと思い始めていたのだ。

でも、実際に、しかもよりによってハルキが記憶喪失なんて…。

聞けないじゃないか。

…何故あーちゃんをいじめたか……。




医者は難しい話を終えると、看護師と一緒に出て行った。




「ハルキ」



羽菜さんはハルキを呼んだ。

事実を受け入れられないでいるハルキに、笑顔で話し始める。

まずは自己紹介かららしい。