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次の日。



シロガネの名前がハルキだと知ったことを、私はアユに言わなかった。

多分、アユは知っていたはずだ。

シロガネの下の名前がハルキだということを。




「じゃあねアオ」



私が知ったことを知らないアユは、忙しそうに教室を出て行く。

私も小さく手を振ってから、学校を出た。



足は自然と、歩道橋へ向かう。



会いたくない。

今だけは会いたくない。



それなのに。

足は止まることを知らない。





「知ったわけ?」




ふと後ろから声をかけられる。



振り向くと、吾妻くんがいた。