今まで、恋というものに縁のなかった俺が初めて恋をした。
4月、小さな関わりから始まった彼女への想いに俺は悩んでいた。
「結城、歌詞はできたのか?」
「いや、まだ」
最近の俺は、全く仕事が手に着かなくなっていた。
目の前の机には、開かれたままの大学ノートが一冊とペン、そして飲みかけのブラック珈琲がお気に入りのカップに入って置いてある。
「最近お前変だぜ?何かあったのか」
「別に」
変か…
確かに、一週間前の雑誌インタビューの時出会った彼女が忘れられないんだけどな
「もう限界だ!!何時になったら連絡がくるんだよ!」
ソファの上の携帯を気にして見てみるものの、着信は無く…
「おいおい…大丈夫かよ、うちのボーカルは」
「何時ものことです」
「だな。気にしたら負けだ。
結城、明日が歌詞の締切だからな」
メンバーの言いたい放題と、催促と…
分かっているのに、書けない自分と…本当にイライラする
「ちょっと出てくる」
俺は気分転換のため、控え室をでた。