「あ、の…。石田先輩」 「大家さんがね、すっごく怒りっぽいんだ。足音、聞こえたから」 そんなのはどうでもいいんです。 心の中で思ったことは言わないことにして。 「はなしてください」 「あ?あぁー…」 石田先輩はぎこちなくゆっくりとあたしの体からはなれた。 忘れていたのかこの体勢。 「ごめん。えっと…、すぐ準備するんで、そこらへんに座っててください」 「へ」 あたしからはなれると、バビュン!と狭い廊下を走って奥に入っていった。 そこらへんに座ってて、って…。ここ、まだ玄関ですが?