最も危険な  ルームシェア

私は滝野守。

三十四歳になる外科医だ。

医師も滅入る悪性の疾病に自分の妻が命を奪われた。

その苦しみは計り知れない。

何のために医師でいるのか。

自分の無力と絶望に胸を引き裂かれながら

日々患者と向き合わなければならない。

妻を失った悲しみは強く

沈み切った気持ちはいつかは薄らいでくるだろう。

だが今は無理だった。

さらに難題が私の前に立ちはだかっていた。

華を説得できる勇気は私にはなかった。

ところが彼女はそれを受け入れた。

私は事前に彼女の身上調査をしていた。

旧家の育ちの良い女性だった。

なぜ住み込みで働く必要があったのかも調べた。

厳格な母親と反りが合わないこともわかった。

そんなことから死んだ妻を母親のように慕っていたのがうなずけた。

妻の代理母の願いは私の説得なく彼女は受けてくれた。

但し条件があった。

これがまた難題だった。

彼女は愛を理解したいと言っていた。

どういうことなのかを聞いて

私は驚いた。

彼女は真剣だった。

「旦那さまに直接教えていただきたいのです。私の身体に。」

彼女は処女だった。

私にはためらいがあった。