「真司は納得しないと思うよ。」

「どうしてですか?」

「真司は君を求めているんじゃないのか?」

「私は求めてません。」

「君は鈍いな。真司とのことにカタをつけないと前に進めないじゃないか!?」

「そうでしょうか?」

「とにかくこの件はまたにしよう。」

「またっていつですか?」

「わからない。」

「それじゃ困ります。」

「真司が襲ってくるから?ハハハ。」

「もぉ、滝野さん。笑いすぎです。」

私は滝野さんとこんな風に話したかった。

このひとときがとても幸せだった。

これからもこの幸せが続くことを願った。

真司さんとはなるべく二人きりにならないように気をつけようと思った。

そして私の想いをもう一度伝えておきたいと思った。

「滝野さん、私はあなたが好きなんです。私の気持ちをわかってください。」

彼はしっかりと私の言葉を聞いていた。

「仁科、たぶん僕の方が君よりも早く好きになっていたんだ。木村の時から。それを覚えていてほしい。」

私は彼のこの衝撃的な発言に心臓がドクドクして

回りの雑音が消えたような感覚に

時間が止まってしまったような感覚に

遊園地にあるコーヒーカップに乗ってグルグル回っているような感覚に

一人でクラクラしていた。