律は仕事に関しては完璧だったが

対婚約者には手を持て余しているようだ。

私は双子の兄平次郎と共に

父が経営するリゾート開発会社の運営を手伝っていた。

平次郎は父の右腕と言っても過言はないが

私は企業経営に向いてない。

元々外交官だった私を父が無理矢理引き連れただけで

現地での外交的な架け橋のちょい役でしか用のない私には

リゾート開発はどうでもいいことだ。

外交官に戻りたかった。

今の課題は妹の婚約者だ。

律が滝野ゆずるをどう見ているのかわからないが

彼を深沢財閥に引き込むに値する人物かを見極めるのは

私には造作もないことだ。