ベッドに取り付けてある、アラームで目が覚めた。


丁度6時。


早い時間であったが、準備をして、仕事に向かうには足りないくらいの時間。

包まれている手をほどき、アラームを止める。

起き上がろうとした瞬間、腰から崩れ落ちた。




眠りについた、記憶がない。


何度抱かれたのか、覚えていない。


そもそも、誰がアラームを付けた?






恨む様にユウキを見ると、もぞもぞと彼も覚醒し始めた。

目が合った。




「──大丈夫か?」

私に抱きつく。






「ごめんな」

ユウキは何度も謝罪を口にした。





──気にしないで。望んだのは、私だから。


言葉にはできず、代わりに力なく両手を首筋に絡める。



ユウキはいつも通り、優しかった。

昨日の夜が、幻のようだった。



でも、私の体には当分消える事ない痕が残っている。




夢なんかじゃ、ないんだ。

ユウキの胸に顔を埋め、堪えていた涙をそっと流した。