(ウザ…)

陽射しの中、セミが命の限り鳴いている。
夏の空気、夏の音、夏の気持ち。
全てがうっとうしい。

冬生まれの人間にしてみたら、五感全てが鳥肌立つ。

苛立つ気持ちを押さえられず、近くにあったペットボトルを窓に向けて力なく放つ。


──正確には、窓に当たり壊れた破片を掃除するのが面倒なだけで。


外の敵は、内からの反抗を気にもせずひたすら鳴き続けている。