「…もう、帰った方がいい」

「…え?」

「…遅いから、夜中は危ない」

空くんが私のことを心配してくれた。

たとえ思い込みだとしても嬉しかったんだ。

「あ、じゃあね」

「…」

「あ、そうだ」

このときにやめておけば、二度と会わないと決めていれば、未来は変わっていたかもしれない。

でも私は出過ぎた真似をしてしまった。

「空くん、明日も来る?」

「…え?」

「…また、会いたいなぁ…って」

「…」

返事がないからやっぱダメか…と、帰ろうとしたとき、

「…いいよ」

と声が聞こえた気がした。

「え?」

私が振り返ったときには空くんはもう跡形もなく、消えていた。