ラショナリズムシンキングLOVE


「っ!?」

反射的に振り返ればそこにはセイ。

「ただの主従関係には見えないがなぁ…クスクス」

扇で口元を隠し怪しく笑うセイにつうと冷や汗が滴る。

「…っ…」

警戒心丸出しにするわけにはいかない。

取り敢えずは唇をかみしめながら笑った。

「何か御用ですか…?」

「悪いな、お楽しみのところを邪魔してクスクス」

「…」

性格悪。

「何か御用ですか?」

「…ライバル宣言」

「…は?」

つい声が漏れる。

ライバル?

俺がか?

「どういう意味ですか」

「狂い出すほど好きなんだろ?

彼女のことが」

「…っ…関係ない…

やっぱりロランと通じてたんですか」

「通じてたというよりも、たまたま再会したんだ。

ロランに別れろと脅された。クスクス」

「っ…別れるんですか」

「そのつもりはない」

「ほっ…良かった…」

俺は心からの安堵の溜息を漏らす。

「良かった?」

「もちろんです。

俺じゃクラウンと釣り合うわけない…

ワコク様こそ最高の婚約者ですから。クラウンをお願いしますニコッ」

「…お前は面白い奴だな」

そうか?

普通じゃないのか?

分からない…

「多少はつかみにくい性格なんですけど、本当は優しいし、いい方なんです」

「お前は保護者かよ」

「仮登録されてます。

だから(恋愛の)対象外なんです。俺は。

クラウンにとっては、俺は、家族だから…」

言いながら泣きたくなる。


三年前、クラウンが市役所に行って俺の養子になろうとしていたのを思い出した。

さすがに同じ年では無理だといわれて相当クラウンはがっかりしてたが…

俺からすればなんで兄弟じゃなく親子になったのかが不思議でならなかった。

同い年だぞ、クラウンとは。


はぁ、と溜息をついて俺は続ける。

「だから、俺もクラウンのことはそういう目で見なきゃいけない。

一人の他人としてじゃなく、家族としてみなくちゃいけない。

クラウンがそういう風に俺を認識してるんだから、俺もそう考えなきゃいけないんです。」

当然の義務ですから、そう俺は話した。