ラショナリズムシンキングLOVE


「はぁはぁ…」

ひとまず、ここまでこれば安心だろう。

自室の扉を閉め、かちゃりと鍵をかけた。

そのまま俺はドアへとへたり込む。

「……婚約…」

先ほどのロランの言葉を思うと自然に涙腺が緩んでしまう。

こんなに泣いたのは久しぶりだった。

涙をなめてみれば、塩分が足りなさすぎるせいでまともに塩味はしなかった。

「…クラウン…なんで、お前なんだろう…」


この恋は、宿命だった。

クラウンは、運命から逃れたがった。

俺が嫌われるのは必須だろう。

仕方がない。クラウンの人生だ。俺が決める権利はない。

相手が悪い奴なら力づくでも手に入れようとも思ったが、セイなら仕方がない。

どこをとっても俺がすぐれているところなんてないから。

「クラウン…」

だが、悲しんでいる暇はない。

さっさと働かなくては。


身なりを整え、痛む体に文字通り鞭を入れた。

絶叫したいほどの痛み。だが、これを常に思い出すようにすれば少なくとも暴走は避けられるだろう。

「…はぁ…」

夜更けの城内は、鳥肌が立つほど恐ろしい場所だった。