<4日目>
【ホセside】
「ごほっ…おえぇっ…」
何も食べてないのに…
「げぼっ…げほげほ…」
最近、やたらと吐くようになった。
俺の体は思ったよりも滅茶苦茶らしい。
何も口に入れないのに何故か吐く。
栄養失調は恐ろしく、何本点滴を入れても間に合わないほどだった。
「大丈夫か?」
「ロラン…ごめんな…おぇっ…」
「…ストレスだろうな、恐らく。しばらくは動くな。
それこそ死んじまう」
「でも…仕事…」
「いいから、お前の体のことだけ考えてろ」
「…分かった」
目は憎いほど潤む。
あまりにも辛かった。
苦しかった。
「ごめん…ロラン…」
「いいって。気にするな。」
「もう、これ打たなくてもいいんじゃないのか?
どうせ、もうすぐ死ぬと思うし…」
ロランはなぜか深々とため息をついた。
心理は、俺には理解できない。
「そういうこと言わない。
お前には、一日でも多く生きてほしいから。」
「…生意気な奴は嫌われるんじゃないのか?」
「嫌味だな相変わらず。
そうだ、今日はクランに会わせてやるよ、な?
少しは元気になるだろ?」
「いや、いい。
俺なんかのことでクラウンを煩わせるわけにはいかないからな…
それより、婚約は?」
「…さあ。」
「まぁ、万に一つも断られることはないだろうからな。
問題は時期だ。
俺は子供が好きだからな、楽しみだ」
「…自分のじゃなくてもか?」
「叶わない夢は見ない。
いろんな意味で無理だ」
「…そんなことないだろ…?」
「クラウンは、運命に縛られることを何よりも嫌う。
運命や宿命はあいつの最も嫌うところ。
俺と一緒になることは絶対にありえない。
宿命以外の何物でもないからな」
そういって俺は自傷的にほほえむ。
あいつは絶対に俺を好いてはくれないだろう。
叶えることはできる。
ただし、クラウンの意志をないがしろになどできない。
当たり前だ。
クラウンのことはクラウンが決めたいだろうから。
俺が願うのは、アクアとクラウンとウィングの幸せ。
それだけだ。


