【ワコク・セイside】
<3.3日目>
クラウンさん…
今まで生きてきた中であんなに美しい女人は見たことがない。
雪のように白い肌に金色の髪と瞳。
まさに美女。
初めに会った時は夢かと思った。
ま、それ以上にあのホセという者が気になるけれど。
様子から見てクラウンに恋心を抱いているというのは決定事項。
なのに邪魔をしてこない…
可笑しなこと。
「セイ様」
「?」
手入れされた庭の中、クラウンと別れ花をめでていると後ろで声がする。
なんか聞いた声だ…
「覚えておいでですか…」
「…この世は狭きものよ…ロラン、こんなところで会えるとはな」
「俺も驚きました。まさか、あなたなんて」
「…変わりはないか?」
「初めのほうは大変でした。いや、スパルタ教育が…」
「そうか、馴染めてよかった」
「いつも助けていただいて…」
「思うことはない。今はそちらなんだろ」
「えぇ…じゃあ、お願いがあるんです」
ロラン…
こいつは以前俺の屋敷の使用人だった。
だが、仕事場に馴染めていず、とりあえず行って来いとあの誕生日会に放り…いや、送り出してそれまで。
どこかには拾われるだろうと思ったが、まさかホセ_ジュエルに拾われたとは。
奇遇。
「断ってくれませんか。この婚約」
「…へぇ。なぜ?」
「もう一人、助けたい人がいるんです。」
「ジュエル・ホセか?」
「!?」
意外そうな顔。
知られていないとでも思ってたのか?
「な、知ってたんですか」
「知ったんじゃない。分かったんだよ、ロラン」
「っ…なら話は早いです。」
「でも、駄目だな。俺だって好きなんだから」
「しかし…「いいだろ。たがいに下手な小細工はしない」
「…」
「病気しないように」
「…はい」
柔らかに微笑みかけながらロランに手を振って別れた。
【ワコク・セイside】End


