「…に、似合わないってっ!!」
「安心しろ。色気たっぷりだ」
「もうっ!!」
あぁ可愛い。
「綺麗だ。着物も似合う…」
そう、クラウンに着せたのは金糸の刺繍が入った紅い着物。
男なら絶対に惚れる。
なぜこんな服があったのかは謎だが。
まあいい。これで少なくとも容姿の面では合格のはずだ。
「っ///」
「どうした?」
「な、何でもないっ!!」
可愛いなぁ、こいつは。
顔真っ赤にしてやがる///
「…十分鏡は見ただろう。行くぞ」
鏡の前から動かないクラウンをせかす。
にしても…
「ヤっといてよかった…ボソッ」
薬を、な?
こんなに可愛くなるとは思わなかったが、正気だったら完全に狂ってた。
「なんか言った?」
「何も。行くぞ、転ばないように気をつけろ」
極力クラウンには触れたくない。
触れたところから一気に赤くなるから。
体温的にも異常に高くなる上に、いちいちそこに血液が集まる訳だから、耳鳴りがしてくることさえあった。
…恋って怖いな…
いつか死ぬのもそんなに遠くないかもしれねぇ…
「きゃぁっ!?」
「おい。」
クラウンの悲鳴で現実に引き戻された俺はそれでも冷静だった。
…さすが薬。
正気だったらどうなってたことやら…
昨日王室で倒れたことを受けて俺は薬の量を1.5倍にまで引き上げた。
その判断が正しかったのかはわからない。
ただし、服用回数は爆発的に増えた。
…仕方ない。これも正気を保つため。
「クラウン…(呆)」
「だ、だって///」
!!!
あぁ、駄目だ…
可愛い///
「行くぞ」
「はぁい…」
!!!!!
間延びした返事をするな!
馬鹿クラウンめ///
「はぁ…」
「どうかした?」
「いや」


