ラショナリズムシンキングLOVE


「大丈夫、なの?」

「あぁ。いたって健全だ。」

「本当?」

「疑うな。本当だ。

今日は化粧をするからな」

「何で?」

「必要があるからだ」

「もう!!」

むすっとしたクラウンも可愛い。

もっと見ていたいが仕方がない、素直に教えてやるかな。

「お前が昨日言っていたワコク・セイ様に引き合わせる。

要は見合いだ」

「え~」

「嫌がるな。いい相手なんだから」

「本当?」

「本当に疑うのが好きだなお前は。」

「だって、いっつもやな人ばっかりなんだもん」

「前にもいたのか」

「うん。だから飽きちゃった」

「今回はいいから我慢しろ。相手は完璧なんだから」

「完璧?」

「あぁ。前に俺が出張に出たことがあっただろ。あれが調査だった」

「ふぅん」

「興味なさげだな」

「だってないもん」

「なるほどな」

可愛い奴///

ハムスターみたいだ。


俺はクラウンを鏡台の前に座らせ、美しい金髪をすく。

「きれいな髪だな」

「本当?」

「そればかりだなお前は」

「嬉しい、ホセに言われると」

「そうか?」

「だって格好いいから」

「セイ様に言ってもらえよ」

「ホセがいいの~」

「なんだよそれ」

そんな会話をしながら俺はクラウンの髪の端を取り分け、双方を二本の三つ編みにしていく。

「ホセの彼女になったらその人きっと自慢するよ」

「何でだ?」

「こんなかっこいい人が私の彼氏なんだ~って!」

「同じこと言えるから安心しろ」

「ホセよりかっこいい?」

「…もちろんだ」

テキトーに流さなければ…

本気にすると思いあがりそうだった。

「ほら、仕上げだ」

二つの三つ編みをまとめ、華やかな花を形作る。

「できた?」

「あぁ。グロスはいいか」

「なんで?」

「元がいいんだからあまりやらないほうがいい。くどくなる」

「そうなの…なんか眠い…」

「髪いじったからだろ。仕方ない」

「寝たいよ…」

「待て。やっぱり紅だけやるか」

「え~」

「ほら、こっち向け」

「はぁい」

いやいやながらこちらを向くクラウンは可愛い。

めちゃ可愛いな///

脳内はピンクにまたもや染まりそうだった。

「///」

右手で軽く固定し、引き寄せる。

嫌でも顔の距離が縮まり、それを隠すように紅を引いた。

体がひどく熱を持つ。

ばれやしないかとひやひやしたが、うとうとしているクラウンにとっては余計な心配だったらしい。

なおもうとうとするクラウンは今にも倒れこみそうな勢い。

「ホセ…寝かせて…」

「…いいが横になるなよ」

「じゃあ肩貸して?」

「っ///」

ぐったりと返事も聞かずに倒れ掛かってくるクラウンに一気に顔が赤くなる。

「おい、クラウン…っ」

起きそうにないか…

仕方がない。起こさないよう移動魔法で大きなクローゼットを開けた。


原色の派手なのは似合わない。

かといって控えめは立場的にまずい。

それにセイ様は地球の島国風。

それなら…

「くくっ…起きたら着付けを手伝ってやらなきゃな…」

俺は怪しい笑みを漏らすのだった。