湧き上がる訳の分らない感情を抑えながら俺は静かに王室へと向かう。
「はぁ…」
王室に向かうまでの間俺はひたすらため息をついていた。
最高神様が婚約の旨を伝えることで正式に二人の交際が認められる。
俺の役目はワコク様がお着きになったことをお伝えするのみ。
後は…そうだな、お茶を持っていくことくらいか…
ただ、これで諦められるだろうか…
自信がない。
いっそ恋などしなければよかったのに…
「最高神様…ワコク様がお着きになりました…」
葛藤を乗り越え、俺は元気なく王室の扉を開ける。
「あ、ホセ!!」
「!?」
俺は慌てて顔を上げた。
そう、聞こえてきたのは今一番聞きたくない奴の声…
「クラウン…なんでここに…」
「ねぇ、ところでワコクって誰?」
「っ…今度教えてやるよクラウン。
最高神様、どうぞこちらへ…」
「ふふっ…えぇ」
「?変な皆」
ずるい。
その顔は無しだろ。///
「っ!?」
い、痛てぇ…?
なんで…胸が…
「大丈夫?ホセ?」
「…何でもない…
客間でお待ちです…最高神様…」
苦しい…全身が拒否してる…
でも、何を?
何で?
どうして…?
「助けて…」
「あぁっ!ほs」
クラウン…
いつの間にこんなに好きになったんだろうな…
どんどん…これからもこうなるのか?
耐えられねぇよ…
俺は、どうしたらいいんだ?
クラウン…?
答えてくれよ…
俺には、分からないから…
全てが消えた俺の中で、意識はプツンと切れた。


