「何だと!?」
「だから、仕方ないだろうが。クラウンの一生がかかってるんだ」
またも部屋に呼ばれたロランは、あまりに残酷なホセの決断と恋路の行方を知る。
「何でやめろって言わなかったんだよ!!」
「そんなのは俺の我儘だろ。事実なんだ、仕方ない」
「どんだけ辛いかわかってんのかよ!!」
「…クラウンには代えられない。」
「あ~もう!!」
いらいらとロランはベットに腰かけたホセを乱暴に揺さぶった。
「お前は、お前は幸せにならなくていいのか!?
お前が思うほど、何もない奴じゃないのに!!
あるさ、お前にだって!!幸せになる権利くらい!!
お前は!!人のことを思いすぎて、自分のことを忘れてる!!
もっと自我を通せよ!迷惑かけてみろよ!
. . .
いい子過ぎるんだよ!!お前は!!」
「幸せになんか、なる権利はない。」
「どうして分かんないんだよ!!」
「何を分かれという?」
「お前だよ!!この世の誰よりも、お前はお前を理解してない!!」
「……」
「自分を殺すなよ!!自分の、意思を、騙すな!」
「うるさい」
「人生でたった一つの我儘だろ!!その位許されてもいいじゃねぇか!!」
「止めろ」
「止めな「止めろ!!!!」
突然怒鳴ったホセにロランは驚いて黙った。
「それ以上言うなよ…
俺だって、考えなしに諦めたんじゃない…
そんなこと言われたら、迷うじゃねぇか…
決心が、鈍るだろ…!」
「…ホセ…?お前…
泣いてるのか?」
声こそ洩らしはしなかったが、わずかに赤く充血した目には、いつもはない潤いがあった。


