牢に戻ると、早速話しかけられるホセ。

 本人は酷く疲れているような顔。

「またあの子か?」

「そうですよ。なんでくるんだか…俺のどこがいいんですかね」

「(そりゃ完璧だもんな)」

 呆れつつあははと笑っている囚人、彼はケルク。

「でもうれしいんだろ?」

「……嫌なわけないですよ。ただアクアの進路の妨げにだけはなりたくないんです。」


 なるわけないだろ。

 内心かなり呆れながらケルクはホセの生い立ちを思う。

 容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。

 宇宙一の総合会社を設立し、現在運営中とのこと。

 さらに夢の国“ユートピア”の建国者現国王。

 しかも研究所の最高部のトップ。

…ここまで来ると信じる信じないの問題じゃない。ファンタジーの世界かっての。

 こんな噂だったから、ホセが来るときはそれはもう物凄い騒ぎだった。