キッチンを出たホセは会議室に行く。
「離してってばぁっ!!」
「逃げないと誓うか?」
「ヤダ」
「なら駄目だ」
そこには椅子に縛り付けられぷくっと頬を膨らませたクラウン。
「会議に出るだけだろう。なぜそんなに嫌なんだ」
「私まだ16だもん。仕事のことなんてわかんない~」
「俺は低学年の時からずっと研究所に勤めている。15の時には会社を立ち上げた。
お前は16だろ?」
「ホセに世間の話をしたのが間違いだったわ」
「…世間知らずで悪かったな」
「(自分を基準にするからでしょ)」
低学年とは小学校1~5年のこと。
会社は宇宙最大と謳われる規模。
………………常識が通用するはずがない。
むすっとしたクラウンはふと顔を輝かせた。
「そういえばホセ、誕生日プレゼントって、何がいい?」
「タンジョウビ?」
「…自分が生まれた日。前も教えた!」
「…なんで祝うんだ?」
「なんでそういうところは記憶から抜け落ちてるの!?」
椅子に座った___縛られたままクラウンは激怒したが、ホセからしてみれば全く怖くない。
「何怒ってるんだよ」
ホセはこういうところにとことん弱い。


