「もう来るな、と言ったはずだぞアクア。」

「また顔色悪いですよ?ちゃんとした食事を摂ってるんですか?」

「ここは地獄だ。まともな食事が出てたまるか」

 地獄の面会室。

牢の中の赤髪の少年ジュエル・ホセは呆れたような声で言う。

「それなら出てください。」

 水色の髪の少女ジュエル・アクアは負けじと言い返した。

 ホセはやれやれといった様子でむすっとした義妹を見つめる。

この二人、ホセとアクアは義兄妹。

というか、アクアが勝手に手続きをした、というような…

 なんにせよ、アクアは囚われている兄、ホセをとても慕っている。

しかしここは魔界。

ホセは自分との関係がアクアの足かせになりはしないかと案じている。

実際の問題、そこは全く心配する必要はないけれど、ホセの性格上、どうしてもそこは譲れないらしい。

「また来ます♪ホセ、元気にしててください!」

「来るな」

 そしてまた、ホセはため息をついた。