◆欲しいもの◆

「クラウンお前、欲しいものはあるか?」

「何で?」

「キリスト様の生誕祭がもうすぐだからな」

「あークリスマスのこと?」

「そうみたいだな。楽しみにしてたじゃねえか」

「別にそうでも...ないけど...」

「何が欲しいんだよ。別におこりゃしねえって」

「今の所ないかな...」

「あるだろ。服とか靴とかアクセサリーとか女は好きじゃねえか」

「そういうホセはないの?」

「あるわけないだろ」

「なんでそうなるの。私だって何かあげたいし」

「...どうしても?」

「うん」

「そうだな...あえていうなら」

「いうなら?」

「...猫」

「猫?」

「猫。」

「どんな?」

「子猫」

「へ?」

「だから、ふわふわの子猫ちゃん。」

「…あ、うん。わかった。あと今後のためにいっておくけど、それ真顔で言うものじゃないから」

「分かった。気を付ける。
あの、見せてくれただろ?俺が出張から帰ってきたときにいたあの子猫」

「ああ、うん。それでいいなら」

「じゃあ、お前の欲しいものも教えろ」

「ないって言ったよね?」

「だが俺は教えた。お前も教えろ」

「………そういうのを横暴っていうと思うな。とっても」

「横暴か。分かった。そして教えろ」

「はぁ…」

「せっかくだから宝石店丸ごと買ってやるよ」

「え!?いらないいらないほんとにいいから!!」

「ああ、アイスクリームパーラーの方が好みか」

「違う違う違う違う!そっち系だめ!ってか何!?あなたの財布は四次元の宇宙空間なの!?」

「んなわけないだろ。現金(キャッシュ)はそこまでない。せいぜい50万かそこらだ。カードに決まってるだろ」

「………(18の言うことじゃない)」

「で?何が欲しいんだよ」

「なんにも」

「それはなしだ。お前が欲しいものを贈りたい」

「…タラシ。キザ。イケメン」

「悪かった。」

「おいこらそこ素直に謝るとこじゃないでしょ」

「良いから教えろって」

「…鳥…かな…?青い鳥………」

「幸せの、か」

「うん……あ、別にいらないよ。ホントに」


           欲しいものend

クリスマス、貰ったのは小さな小さな小鳥でした。