ラショナリズムシンキングLOVE

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【アクアside】

「私です…ホセ」

優しく、優しく。

星たちは私にささやく。

"カレハオビエテル"

"フシギニオモッテル"

"アナタガキテクレタコトト"

"コレタコトヲ"


そっと姿を見せれば、ホセは綺麗な紅い瞳を翳らせて大きく見開く。

「あ、アァァあ…」

ホセは酷く混乱して恐がって、立ったまま一生懸命私を睨む。

安心させようと私は笑って手を伸ばす。

「怖がらないで下さい。大丈夫です」

それでもふるふると首を振りながら、ゆっくりゆっくりあとずさるホセ。

"コワガッテル"

"フアンデオシツブサレソウ"

"タスケテアゲテ"

そしてついにホセは私に背を向けて走り出した。

"アシドメスルヨ"

"ユックリオイカケテ"

"コワガラセナイヨウニ"

"アンシンサセテ"

必死に走るホセには明らかに戸惑いがちらついて。

止まりたいと思ってるようで。

そっと足を踏み出し私はゆっくりと歩き出した。

弱々しいホセを見ても私は驚いたりしない。

強がってただけだって私には分かってた。

平気なふりして心で泣いて、きっとこうやって弱くなってた。

人に優しくしてばっかできっとホセはボロボロだった。

それを出さないで、強い振りをして。

一人で翔べと笑ってくれた。

でも、見捨てられる訳ないでしょ?

置いていけなんて、聞けるわけないでしょ?

幸せになりたいと思うことは、罪じゃないから。

「ウワッ」

「ホセ?」

不意にバタリと倒れたホセに心配になってそっと声をかける。

それでも立ち上がってホセはまた走り出した。

「大丈夫だから」

"マダコワガッテル"

"ナニカヲウシナウコトオソレテ"

"モトメテルノニ"

"ジブンニスナオニナラナイ"

「大丈夫だから」

「っ…」

ついにホセが膝から崩れ落ちてへたりこむ。

私がゆっくり、ゆっくり近づくとホセはうつむいてじっとして震えていた。

"アナタヲウシナイタクナインダ"

"アンシンサセナクチャ"

"オソレテル"


「どうして」

私はすっと右手を差し出し


「止めて」

カタカタ震えるホセの左手をそっと握って


「来るな」

懇願を無視して強く冷たい手を握りしめ


「もう…もう…」

弱々しく囁くホセをギュッと抱きしめた。


「アクア…もう…止めろ…」

それでもすがりついてくるホセは本当に素直じゃないんだな、なんて。

「大丈夫ですから」

でもホセは違うんだと首を振る。

「失いたくないんだよお前を」

だから、帰れ。

そういっているようだった。

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