ラショナリズムシンキングLOVE

【ウィングside】

「許して…笑えないよ…」

胎児のように丸まってプルプルと小刻みに震え始めたホセを俺は見つめていた。

そして思った。

辛いと思うならこの傷が癒えるまでここにいてみようか、と。

独りにするくらいなら、こいつの言う通り、縛られてもいいかなって。

そこでふと俺はとある歌の歌詞を思い出した。



君は一人じゃないから
僕がずっと側にいる

世界中が君を責めても
僕だけは側にいる

だから泣かないで
見てるこっちまで悲しくなるよ

うつむかないで
幸せにさえ振り返れないから

泣かないで
君の笑顔が好き



俺がまだホセをよく知らない、独りでいたときには、この歌が大好きだった。

笑顔を浮かべてれば、いつか幸せになると、信じてた。

それは本当だったけど、嘘だった。


ホセを見て、泣かないでなんて、言えない。

強がっているのが分かるから。

手に取るように怖がってるのが分かるほど怯えたあいつに、泣かないでなんて。


泣いて。

泣いてくれよ。

せめて、悲しんで良いから。

苦しんで、苦しいと言って。

寂しくて、寂しいと言って。

「ホセ…」

笑わなくていい。

泣いてくれ。

【ウィングside】END