ラショナリズムシンキングLOVE

「ホセ?ご飯持ってきたよ。一緒に食べよう」

「…ううん…仕事…」

「今日は一日父さん達出かけるんだよ。だからゆっくりしてろ」

「良い…良いから…」

「ホセ?どうしたの?」

そっとローズはホセの顔を覗きこんだ。

そして絶句した。

「ホセ!?」

慌ててローズはホセをベッドに寝かせ俺に不安げな瞳を向けた。

「顔色…真っ青なの…」

よくよく見れば確かにいつもの数段青い顔。

起き上がろうと頑張るホセを寝かせ、俺は額と額をくっつける。

「あつ…」

完全に熱だった。

「待ってろ、すぐ薬を…「_____」

俺は出て行きかけて、ピタリと足を止める。

ローズも驚いて目を見開きホセを見つめる。

___今、なんて?

「いい。知らないふりをしなくても」

___何故?

___何故?

二人は同じことを感じ合う。

「幼児保護法
(中略)次のような死亡は特例とし罰としない。

(1)やむを得ず両親、または成人した親族が死亡し引き取り人が遺言されていなかった場合

(2)裁判の結果、死刑と定められた囚人の場合

(3)先天的、または後天的な病を患い、"看病を怠らなかったにも関わらず"死亡した場合」

幼児保護法は虐待などで未来に生きるはずだった貴重な才能の芽を摘んでしまわないための措置だ。

<絶対に、七歳までは、育てる。>

これが法律。

ホセが言ったのは死亡させても罪に問われない特例。

「知ってて何で驚く?」

「どういうこと「役人が来るのはまだ後なのに。何故優しくする?」

「ホセ私は「何故両親に隠す?
何故ここで休めと?
役人が来るのはまだなのに?
それとももう呼んだのか。いつの間に。
電話回線は監視してた。なのに、いつ。
俺を守ってると…役人を…呼んだ…。

呼んだなら、もっときれいにしなきゃ。
きれいな服を、清潔な服を。

愛してるふりを…可愛がってるふりを…
何故…しない。


楽しみだったのに。

確認の時くらい。

嘘でも抱きしめてくれると…

可哀想と泣いてくれると…

大好きと…言ってくれると…

思っ「ホセ…」

ホセは呟いた俺を死んだ瞳で見つめた。

「いつ来るんですか?」

「来ねえよ。絶対」

___例え、小屋の中でお前が死んだとしても。

きっと、誰にも気づかれなかった。

でも、俺は…

「嘘じゃない…信じてくれねえか…?」

今さらだけど…

お前に、生まれて来てくれて、ありがとうと。

せめて、伝えたくて。

「ホセ、お前に死ねなんて、もう言わねえ」

ギュッと、ホセを抱きしめた。

___ああ、体だけだ…

この感覚だけ。

ホセが…幼いのは。

「独りで泣かないで」

瞳も、顔つきも、頭の中も。

全て、大人になった。

独りで。

俺を、俺とローズをおいて。


ふわり、ローズがホセを撫でる。

細い髪。

美しい紅髪(アカガミ)を…

「大好きなの。偽りもなく」

強ばっていたホセの体はだんだんと力が抜けていく。

細い、本当に。
生きているのが不思議なくらいに。

弱い、本当に。
"生"が奇跡だと思わせるほどに。

怖い、本当に。
城みたいだ。壊れそうで、崩れそうな、積み木のお城。

「「大好き」」

___あぁ、二年きっかり。

二年前に言うべきだった言葉。

やっと言えた。



「嘘だ」




でも、遅すぎたみたい。

【過去 ダイアside】 END