先ほどの口論、結局ホセが折れた。
ということで、今は馬車の中。
「なにかあったの?」
「…何だ」
「だから、なんかあっ」
「ない」
無表情のまま抑揚なくそういって、ホセは動かない。
「…あったでしょ?」
迫られてホセはふっと視線を泳がせた。
「ない」
「嘘つき。相変わらず素直じゃないの~」
「嘘じゃ」
「嘘。相変わらずつくの下手すぎ」
「嘘だ。だから何だ、クラウン」
あきらめて開き直って、ホセは冷たく言った。
「嘘つきなら地獄に戻って串刺しの刑だろう…」
「うん」
案外あっさり頷いてクラウンはでも、と続けた。
「私が許さない」
「…」
カタカタと馬車が揺れる。
そのあと二人は、ずっと無言だった。


