「…いってぇ~!」
ったくホセのやつ、歓迎位しろよ!
「…誰だ、お前…?」
「あ?」
逆さに堕ちてひどくぶつけた後頭部を撫でていると上から声が降ってきた。
「誰だ?」
「…ウィングだ。クリアス・ウィング」
ホセの夢の中にいるやつなら信用できるんだろう…
そう踏んだ俺は俺を見下ろしている男に名を明かした。
「…クリアス…あぁ、ホセの友達か」
そこではじめて相手は警戒を解いたらしい。
にこりと笑って手をさしのべてきた。
「…君は、ホセを連れ戻しに来たんだろ?」
「…そうや。あいつの恋病の原因がもうすぐ婚約を発表しそうで、そのまえになんとかせなあかん」
「…おかしな喋り方だな」
「ホセはどこにおんねん。知ってはるんやろ」
「ああ。知ってる。そして俺もあいつが戻ることを望んでる」
「なら…」
話は早い。早くつれ戻そう___
俺がそういいかけると相手は悲しそうに微笑んだ。
「お前は、あいつの過去を受け止めてくれるか?」
「ホセの過去の頃なら「ちげーよ。あいつの思考を、あいつの視界を理解できるか?」
「視界?」
「主観的客観視と客観的主観視のことだよ。」
「あぁ…」
「ま、それはともかく、あいつの過去を知りたいか?
知っててなお、あいつのことを好きだと言えるか?」
「当たり前や。…ところで、あんさん誰やねん」
「…あいつの思い出だ。勝手に見せるのは忍びないが、ホセの為だから…」
「おい!誰やって!」
「あとでわかる。またな…」
「っ…」
まただ。あの感覚。
堕ちてく、深い、深い闇に。