さくら館へようこそ！

「これだよ、これ。今、ゆるちゃんがもってるやつ。」

そう言って、わたしは本をさす。

「うーんと、なになに・・・た・・・たぁ・・・田中さんちの・・・なんて読むの？」

萌威ちゃんは、目を細くして本のタイトルを読む。

「田中さんちの妖怪。わかった？」

「田中さんちの妖怪？これ、何の話？」

「えっと・・・。」

わたしは、頬をかく。

「田中さんちの妖怪っていう、この本はですねっ・・・！！」

ゆるちゃんは、目付きが変わると本について語りだした。

「この小説は、簡単に説明すると、主人公の田中さんが高校を卒業して大学に入ると共に一人暮らしを決意するんですが、お金はあまりなく安い家賃の古い家に住むことにするんです。そんな、田中さんが引っ越してきたそのアパートには妖怪と呼ばれる者が取りついていて、田中さんの回りでいろんな事が繰り広げられる話ですね。」

ゆるちゃんは、目を閉じてそう言う。

「へ、へぇ・・・。」

萌威は、少し顔を引きつってゆるちゃんを見つめる。

「次、借りて読んでみてください！ぜひ！おすすめですよ！」