「はいはい。
私もさっき見て悲しんでた所なの。悲しみに浸らせてよ」

「うそー!絶対悲しんでないでしょー!もー怒った‼︎沙七のクラスに遊びになんて行かないからー!もー‼︎…」


…まだ隣でギャーギャー言ってる。
それさえも何だか嬉しくて、葵のおかげで生きてけてるよな…本当。

それを思うと葵には感謝しなきゃいけないことが山ほどある。

ふいに…

「葵ー、あんたがいてくれて良かったわ」

なんて口から出てしまった。

さっきまでギャーギャーうるさかった葵は立ち止まって俯いた。

え…私なんかまずいこと言った⁈それとも普段言わんから感動した…とか⁈

それは葵に限ってないかー。

にしてもらどうしたんだろ。
…不安じゃん。

「…葵?どうしたの…?ねぇ葵?」

葵はまだ答えてくれない。俯いたまま。

「葵ってば!
私、なんかまずいこと言った…?
それなら謝…」

「ズっ…」

…え?

もしかして…葵泣いてるの⁈

「あ、葵⁈大丈夫?どうした⁈何かあった⁈」


…葵が泣いた所、初めて見た。小3から仲良くなったけど、今までそんな所見たことなかったから…

「沙七、あのね…
私、すごい沙七の事好きやけど一方的なんやろうなって…ずっと…ずっと不安だったから…。さっきのことが嬉しくて…」

初めて葵の本音を聞いたような気がした。

「そんな風に思ってたなんて知らなかった…。
不安にばっかさせて、私ばっかり支えてもらっててごめんね。
葵の事、すんごい好きだから…!
葵がいなきゃダメなんだよ。」

涙が零れた。

私の事を大切に思ってくれてる人がいることへの安心と嬉しさ。

葵は私にとって、本当にかけがえのない存在だよ…。


小学6年生、友情が大きな物へと変わり、私を支えてくれた。そして…この時から葵は少しずつ変わってしまった。