君だけに、そっとI love you.





──鼻からスイカ。






普段何の気なしに空気を吸い吐くという作業をしているこの小さな鼻の穴からスイカを“ご出産”、うーん考えただけで絶対に痛い!痛いに決まっている!!






直立不動で眼鏡の縁を軽くつまみ目をギュッと固く瞑る掬恵。






あぁー恐い!未来の旦那様には申し訳がないけれど、私は将来、やっぱり子供を産む自信がない。







飼育小屋の前でどうして私は出産について悩まなければいけないんだろう。







と、その時、休み時間が終わる鐘の音がした──。






「はっ、教室に戻らないと!」、そう思った掬恵は真横にいる周翼の顔を見上げる。





掬恵と目が合った周翼は、一瞬驚いて目を反らし無言のままポケットティッシュを即座に掬恵に差し出した。






「えっ、何!?ティッシュを私にくれるの……」







「………………」






「意味がわからないよ!」






周翼が掬恵の鼻を指さした。