――【昨日、吉井さんの背中に乗っていた白いウサギの絵だよ!】
白いウサギ……、そうだ昨日の私の恥ずかしい一連の記憶がよみがえる。
坂口くんはウサギの絵を描いていたんだ、言われてみれば、少し納得ができるかも……。
絵を見るというセンスがないのは、私の方だったのかかもしれない。
しかし、あの白いウサギ、坂口くんが早く抱き上げてくれていなかったら、私の背中の上でご出産をするつもりだったのかな。
想像をすると、笑えないね……。
隣を見ると周翼が息を殺してクスクスと笑っていた。
掬恵が目を細めながら周翼の顔をじっと見ている。
もしかして──、私の背中の上で白いウサギが出産をしている姿を想像しているんじゃ……。
いや、絶対にそうだ……。
掬恵が黄色い付箋に手を伸ばす。



