「ありがとう、ございま…しゅ……」と震える両手で赤いジャージを受け取った掬恵。







涙声の掬恵、最後の語尾が何を言っているのか少しわかりにくかった。







「よっしゃ、吉井がこのジャージを受け取ったということはもう正式なサッカー部のマネージャーやからな!」






──言葉にならないくらい、嬉しくて。





「はいっ!」と気合いを入れた返事。






──サッカー部のマネージャーになる返事、今度は自分がきちんと責任をもってした。







「まぁ、坂口も小川もちょっとハチャメチャなところがあるかもしれへんけど……。お前、ほんまにええ仲間に囲まれて幸せやで!」





溝口先生が掬恵の背中を少しボンと強く叩いた。






──私は自分で気づいていなかった、




人に必要とされる事は、凄く幸せなことなんだと──。





目の奥が何度もジーンジーンと熱くなり、涙がこぼれ落ちそうになる。