──私の身に、いったい何が起きているのだろうか……。







頭が真っ白になり、恥ずかしさで顔が熱くなっている。







早く立ち上がらないと、とそう思っていると掬恵の正面から掠れてどうも聞き取りにくい声が聞こえてくる。






仙人のような声。







「ごめん、僕の咳で驚かせてしまって……」






顔を上げるとそこには白いマスクを付けた坂口 周翼がしゃがんで掬恵の顔を見ていた。