二階へ続く階段を息を切らせながら掛け上る。
年季の入った木の板に黒色の墨で大きく“サッカー部”と書かれた文字が目に飛び込んだ。
──なんて達筆な字なんだと見惚れて私は感激をしている場合ではない。
着いたのは“サッカー部の部室”だった。
──確か、この間……、坂口くんはサッカー部に入部をすると言っていたね。
なぁーんだ、部室の扉の前まで私についてきて欲しかっただけなのか。
だったら、最初から私に“ついてきて欲しい!”と一言声を掛けてくれればいいのに、坂口くんは他人行儀だな。
私の今日の仕事はこれで終りだ……。
坂口くんの付添人、終了──!
体の向きを変えて帰ろうとする掬恵の手を周翼が強く握りしめて引き止めた。
「帰ったら、ダメだよ……」
「どうして……!?」