──あれは、忘れもしない小学校3年生の夏。






私は小学校の頃からずっと目が悪く、常に眼鏡をかけていた。





──誇り高き私の名前“掬恵”は、怪談話に良く出てきそうな名前だなと友達にからかわれることが度々あった。




そして、校舎の裏で涙を流しながら自分の名前を何度も何度も恨んだ。





きっと、その頃からだろうか……、自分の名前を好きになれず、自分自身を好きになれず、自信というものを置き去りにしてきたのは──。





悲しいけれど、吉井 掬恵を一番大嫌いになったのは、私自身だった。