掬惠が声を詰まらせて泣きながら、左手のキーパーグローブもはめてみた。




あっ、また、何か中に小さな紙が一枚入っている。




取り出すと、ピンク色の付箋だった。




ーー【 I love you. 】




ピンク色の付箋の意味は嬉しい。




前に後輩の高谷さんが私と坂口くんに『じゃあ、2人に質問です。もし、好きな人がいてたら、どうやって告白をしますか?』と質問をしてきたのを思い出した。




坂口くんは『俺だったら、普通の告白の仕方はしないかもね……』と答えた。




私は『普通の告白の仕方はしないって、……例えば?』と坂口くんに聞いた。




坂口くんが『……それは秘密』と言った。




今ね、坂口くんの『秘密』の意味がわかったよ。




「ありがとう、坂口くん」



私も本当は坂口くんの事が好きだった。




掬惠は少しキーパーグローブを見つめて首をひねりながら考えた。




右手のキーパーグローブの中には、坂口くんの宝物が入っていた。




左手のキーパーグローブの中にはピンク色の付箋が1枚入っていた。





高校3年生の時の北海道の修学旅行での事を思い出す。



『ねぇ、坂口くん、クラーク博士の伸ばしている右手の意味を知ってる?』




『えっ、右手は宝物や大切な物を探している……?』




『じゃあ、左手は?』




『左手は……、大切な人を守っている』



あの時、軽い気持ちでなんとなく出した私の質問に、真剣な顔をしながら考える坂口くんのなんとなくの出た答え。


もしかしたら……、この事とリンクしている?