ーー卒業式ーー 高校3年生、3月、卒業式──。 この日も朝から正門の側で満開になっている桜の木の下で掬惠は周翼を待っていた。 こなかった、かっ────。 卒業式なのに、「はっー」とため息をつき足取り重く肩を落としながら体育館へ向かう掬惠。 しばらくすると、卒業式も無事に終わり、卒業生は正門から晴れやかな顔で巣立っていった。 ただ、誰もいない教室で担任から少し残るように言われ掬惠はぽつんと1人席に座っていた。 廊下から担任の先生が戻ってくる足音が響いて聞こえる。