今はね、後輩の高谷さんの為に坂口くんに聞いたの。





周翼は伸びをしながら頭の後ろに両手を組み、斜めに見上げた天井を見ながら「うーん……?」と考え、一呼吸おいた後に体制を整え掬惠の瞳を捕まえるようにじっと見つめた。





「俺だったら、普通の告白の仕方はしないかもね……」






ねぇ、どうして、そんな顔で私に言うの、坂口くん?





実は坂口くんには言えないけれど、私の側に坂口くんの事が好きな後輩の高谷さんがいる、お願いだから私の顔だけを見て言わないでよ。




もう、身が狭くなる。





いづらいよ。






後輩の高谷が寂しそうな表情を浮かべている。





困惑の表情を浮かべながら掬惠が「普通の告白の仕方はしないって、……例えば?」と周翼に聞いた。








周翼が「……それは秘密」と言った後、後輩の高谷に「って、そんな質問を俺達にするってことは、近々、誰かに告白をする予定があるの……?」と聞く。



掬惠ががくっと首を落とす。






坂口くんの鈍感!と心の中で大きく叫ぶ掬惠。






「あっ……、……」と口をつぐんで、恥ずかしくなって真っ赤な顔をした後輩の高谷が椅子からすくっと立ち、「もうすぐお昼休みの時間が終わるから」と弁当を提げて急いで教室から出ていってしまった。




女の子は凄く繊細な生き物なんですよ、坂口くん──。





と、こんな感じで2学期が幕開けをした。