酸素が薄い。





肺いっぱいに空気を吸い込んでもまだ足りないような気がする。







軽い頭痛と眠気や吐き気、そんな症状が出て前へ進む気持ちさえも遮ろうとする。





これはまだ軽い高山病。








八号目を過ぎてから、更に息が苦しくなり何人かの部員が時々簡易の酸素ボンベを吸うようになった。







もちろん、周翼や菊恵も酸素ボンベを使いながら歩いている。






酸素ボンベを吸うと気持ちだけ頭が少しシャキっとする。






普段、当たり前のように酸素を吸える環境にいることに有り難く感謝をする。






一歩を出す足がまるで鉛のように重くしんどくなる。






この頃から、細かい休憩をこまめにとるようになった。







真っ暗な道の両脇に地面に横になって倒れている人達を頻繁に見かけるようになった。







最初はこの光景に驚いたが皆完全な高山病だ。





登れば登るほど。






また、あっちにこっちにと普通に人が倒れている。






九号目の目前、私達の部員にも一人高山病になってしまった人が出た。